ヒノキは、古来より人に親しまれ「貴い木」として愛用されて参りました。
利用の最初は、古代人が「火を起こす木」から「ヒノキ」と呼ばれ、
現在の「ヒノキ」になったと言われております。
法隆寺や正倉院の建築例にも見られるように、耐久性、美観に優れ、
千年かけて成長したヒノキは、伐採後千年経過しても強度等の経時
変化がないと言われております。
また、土石流に埋もれたヒノキと杉を顕微鏡で見ると、ヒノキは組織が
破壊されずにレンガを積み上げたように、もとの組織がそのまま保持
されております。
この様なヒノキには、薬効成分が沢山含まれており、特にヒノキオイル、
ヒノキチオール、フィトンチッド、等の成分は、あまりにも有名です。
現在、水虫の治療薬、育毛剤、歯槽膿漏の予防等多くの分野で利用されており、
また、ヒノキをはじめ植物が発散するフィトンチッドの効用が、今日よく言わ
れております森林浴効果でございます。このフィトンチッドは、ソ連の
トーキン博士によって発見され、精神安定、殺菌殺虫効果等があることは、
すでに学会で発表されている通りです。
ヒノキ材の殺菌効果について申し上げますと、エノキ茸栽培のビンの中に
ヒノキのオガクズを混入しますと、菌が殺されキノコが一本も生えてこない
と栽培農家のレポートが出ております。また、ヒノキ林の中には毒キノコさえ
も生えないのでございます。
次に殺虫力については、ヒノキ林ではバードウォッチングが出来ないと
言われており、それはヒノキ林には鳥が食べる虫が生息しにくいので、
鳥が集まらないからです。
千葉県衛生研究所の医学博士、林先生の実験によりますと、ヒノキ粒を入れた
ダニの繁殖試験では、ダニの発生と増殖がないと報告説明されています。更に、
ヒノキ材からの抽出液0.5%の希釈液を散布した場合、48時間以内に100%ダニは
死滅する事も報告されております。フィトンチッドを充填したガラス容器の中で
皮をむいたゆで卵が、20有余年経過した今日カビも生えず、腐らないで保存され
ているトーキン博士の実験は、雑誌の写真等でご覧になった方もおられると思い
ます。昔からヒノキ造りの家には蚊がいないと言われるのも、同じ理由でしょう。
ヒノキ粒を10数個ポリエチレン袋に入れ、食パンや餅を保存しますと、
青カビや黒カビの発生が非常に遅い事も実験でわかりました。
ここで植物から発散される芳香物質フィトンチッドについてもう少し詳しく
お話ししてみたいと思います。植物がフィトンチッドを発散する本来の目的は
「植物を襲う微生物を殺菌する」ためです。植物は常に微生物に狙われ、
逃げ出すこともできず、少しでも弱ると微生物に襲われ、カビが生えたり、
腐ったりします。これらに対抗し、植物が自己防衛のために発散する芳香性の
抵抗物質が、フィトンチッド(フィトンは植物、チッドは殺す=ロシア語)、即ち、
植物が持つ殺菌効果です。このフィトンチッドは人間には有益で、精神を安定
させ、大脳中枢を刺激し、体の調整を高める等の効果があると言われております。
山の中で働く人たちは、二日酔いや、ちょっとした風邪、あるいは軽い
ノイローゼ等は、仕事をしている間に治ってしまうと言われており、これらが
いわゆる森林浴の効能、フィトンチッドの吸収効果です。
我が国の森林浴のオーソリティー共立女子大の医学博士、神山恵三先生は、
緑の健康法として「森林浴」を多くの人に勧めておられます。
ヒノキは日本国有の山に植樹させています。樹齢200〜300年という樹木を
伐採しヒノキの元木から様々なエキスを抽出しています。これらの抽出成分は、
ヒノキオイル、ヒノキチオール、フィトンチッド等の成分があり、アトピー性
皮膚炎・ダニ防止・火傷・虫歯・殺菌作用・抗菌作用・白アリ対策などに効果
があり、更にヒノキの香りが自立神経を正常にさせる働きがあります。